小田祇園祭のもう一方の主役お神輿を囃子たてる、八坂神社のお囃子の練習にお邪魔しました。
こちらは八坂神社お囃子保存会の方々が、小田東部八坂神社本殿隣の建物で行っています。
お囃子の練習風景
太鼓の最初の一音から、厳粛な空気に引き込まれました。
これが練習の始まりです。
はじめに「参切り(サンギリ)太鼓」と「御神輿囃子(ゴジンコバヤシ)」を通しで30分ほど、それからわずかな休憩をはさみ、また通しで合計1時間半ほど演奏されました。
本番でもこのように長い時間を連続して演奏し続けるので、楽器は時々交代するそうです。
中学1年生から50代の社会人までが、挨拶を除くとほぼ無言で、粛々と練習が進んでいきます。
不思議な空間でした。
年長者から身振り手振りでの指示や、休憩中には指導が入ります。
それでもちょっとした時間には、一人ひとりが自ら素振りをしたり、誰かと合わせていました。
熟達すると、自分の音(「色」と呼んでいます)が出せるようになるそうです。
確かに、打ち手が変わると素人にも分かるほど、音が変わります。
自分に納得のいくまで、音と向き合うひたむきさに、触れることができました。
この日は平日の夜だったので、人数は少なめ。
休日には小学生や女性も多く練習に参加しているそうです。
中には祭りの当日にだけ帰省して、お囃子に加わる学生や社会人もいると伺いました。
神聖なお囃子が、時代を超えて小田の人と精神をつないでいます。
お囃子の見どころ「宮入り」
祭りで日本神話のスサノオノミコトとヤマタノオロチの対決を模した、大獅子とお神輿の「顔合わせ」が終わると、ここからはお神輿が八坂神社にお戻りになる「宮入り」が始まります。
小田祇園祭で最も格調高いところです。
宮入りでは戦いで荒んだスサノオノミコトを鎮める、御神輿囃子が奉納されます。
このお囃子は、遅過(ノロスギ)囃子、双ツ(フタツ)囃子、欧過(オオスギ)囃子と、調子が三段に変わる、小田に独特のものです。
お神輿が鳥居をくぐると神主がお神楽で迎え、奥の本殿に収まると散切(サンギリ)太鼓でお囃子が終わります。
それから全員でお神酒をいただき、手締めをして小田祇園祭が終わります。
祭り当日のお囃子の予定
お囃子は9時頃から15時頃まで、小田東部地区内を欧過囃子を奏でながら、お神輿の露払いをします。
お神輿は13時頃に八坂神社を立ち、巡行しながら東部地区の四方で神主がご祈祷します。
さらに氏子のお宅にはお祓いで、家内安全、五穀豊穣、無病息災を祈ります。
そのあとお囃子とお神輿は合流して、20時頃からの大獅子との顔合わせに向かいます。
小田協議会では2024年7月14日(日)に、お神輿が八坂神社の本殿から拝殿にお出座しになる、「お出(オデ)」の儀式の様子も取材する予定です。
儀式は一般公開され、ここでもお囃子が演奏されます。
ぜひ年に一度の生の調べを堪能しに、小田にお越しくださいませ。