つくば市小田には元々「3つの万灯」がありました。
小田東部の十九夜万灯、小田西部の天神様万灯、小田中部のお不動様万灯です。
そのうち、十九夜万灯は30年ほど前に絶えてしまっていました。
これが八坂神社お囃子保存会の方々により、2024年に囃子込みが復活、今年2025年には盆踊りも復活を遂げました。
かつては毎月19日に女性が集まる講(こう)を開き、十九夜様(如意輪観音)に安産を祈願してお参りしていたそうです。
そのうち8月19日には、「十九夜万灯」として八坂神社の境内で盆踊りなどを行うものでした。
小田祇園祭のように大掛かりではないけれど、顔見知りばかりの小さくて温かい祭りの一日でした。
お社と石塔を巡る囃子込み
夕方八坂神社で、参切(さんぎり)の太鼓が、祭りの始まりを知らせました。
それから境内を出立したお囃子は、騎馬武者通りを小田城方面に向かい、一ノ木戸から「お仮屋」に至ります。
そこにある十九夜様の石碑の前で、参切太鼓が打ち鳴らされました。
最長老の方が、経緯について話してくださいました。
「盆踊りも復活させたいって若いのが相談に来たので、絶対やれっていったの。」
30年前にやっていたことや、それまでの歴史や由来を知る方は貴重です。
かつてやめたときの経緯もあったでしょうに、こうして背中を押してくださるのは、心強いことだと思います。
それからお囃子は解脱寺に向かいました。
三柱の如意輪観音(にょいりんかんのん)の前で、参切太鼓を奉納して、住職からお話を頂きます。
観音様は明治から大正あたりの作で、当初は祠があったそうです。
長い時を経てまた人々が周りに集いお参りをする姿を、柔和なお顔で喜んでいるように見えました。
日本一?短い盆踊り
囃子込みながら八坂神社に戻ったときには、もう日暮れも間近。
境内の十九夜様にも照明が灯され、時折お参りに来られる方がいらっしゃいました。
盆踊りの演奏は、古くから小田に伝わるもの。
短いフレーズをひたすら繰り返すので、保存会の方は「おそらく日本で一番短い盆踊りでは。」とおっしゃっていました。
「これはぜひ子どもたちに叩いてほしいんだけど、やりたい人!」と保存会の会長さんが言うと、子どもたちが自ら次々と出てきます。
そして30分ほど教えてもらうと、もう自分で叩いていました。
途中で飽きるどころか、休憩時間にも納得できるまで練習をしているあたり、本当に太鼓が大好きなんだなあと感心しました。
夜が更けるにつれ輪に加わる方も増え、子どもたちの演奏の周りで大人たちが笑顔で踊っていました。
「これが小田の宝なんだ。」と保存会の最古参。
復活した十九夜様は今年も盛況のうち、恒例の参睦一据(さんぼくいっせい)で締められました。
このホームページでは残る2つの万灯、天神様万灯とお不動様万灯も取材する予定です。
どうぞお楽しみに。
記者:めーさん、撮影:TKCツーリング